園養山おんようざん古墳群は、滋賀県湖南市三雲にある滋賀県下でも有数の古墳群。
6世紀中頃、渡来系穹窿きゅうりゅう式の横穴式石室(=畿内型B類)造営に始まり、ヤマト王権の影響下で平天井式の横穴式石室(畿内型A類)も6世紀後葉から導入されるようになり、7世紀に入って漸減するが7世紀中葉頃まで造営は継続したらしい。
標高485mの鳥ヶ獄とりがだけから北東に伸びる斜面中腹から山裾に位置し、特にJR草津線の「三雲駅」と「貴生川きぶかわ駅」の間、線路沿いにある天台宗「園養寺おんようじ」周辺、南北700m・東西400mの範囲に所在する。(2008年現在)190基が確認されており、いずれも径十数mの円墳で横穴式石室を有する。完存石室23基・半壊石室58基・壁面一部のみ遺存34基・埋没石室17基・石室確認不能58基。削平されたものあるようで200~250基はあったと思われるとのこと。
大きくA~Dの4支群に分けられている。
A支群=1~59号、B支群=60~133号、C支群=134~161号、D支群=162~190号
下図赤●が「園養寺」(右が北)
*「甲賀の横穴式石室-後期古墳群調査報告書-」P103-図68を編集・加工
古墳号数はA~C支群では原則、北→南、西(山頂側)→東(山麓側)の順に付番されている。
別斜面にあるD支群では東→西、南(山頂側)→北(山麓側)の順に付番されている。(右が北)
*「甲賀の横穴式石室-後期古墳群調査報告書-」P58-図44(園養山古墳群 古墳位置図)を編集・加工
=====【古墳群の詳細資料】=======================
園養山おんようざん古墳群の分布図等詳細については、甲賀市教育委員会 2008年発行 甲賀市史編纂叢書第四集ー『甲賀の横穴式石室-後期古墳群調査報告書-』に掲載されており、園養山古墳群各ブログの古墳規模・石室実測値等は、基本的にこの資料に準拠しています。
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調査報告書はA4版全173ページ。
平成17(2005)・18年度(2006)調査結果をとりまとめたものです。
甲賀市の岩坂古墳群・岩坂南古墳群・百合野古墳群・奥百合野古墳群・高山古墳群・三大寺落し谷古墳群・城川古墳群・三大寺桜ノ馬場古墳群・波濤ケ平はとがひら古墳群・塚穴古墳群・杉谷古墳群・勅旨古墳群と併せ湖南市の園養山古墳群が掲載されています。
この調査報告書については、下記甲賀市HPを参照下さい。
また、この調査報告書を所蔵する大学の図書館は下記で検索下さい。
CiNii 図書 - 甲賀の横穴式石室 : 後期古墳群調査報告
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A支群
園養山古墳群A支群 - OSAKA-TOM’s diary (hatenablog.com)
B支群
園養山古墳群B支群(前半) - OSAKA-TOM’s diary
園養山古墳群B支群(後半) - OSAKA-TOM’s diary
C支群
D支群
=======【当古墳群訪問時の注意点】(2024年3月現在)===========
・最寄り駅のJR草津線「三雲駅」周辺にはコンビニはありません。
・自販機は「三雲駅」にはありますが、園養寺への道中や園養寺にはありません。
・冬場限定。雨天厳禁。雨天翌日も避けた方が良いです。
なお、冬場は(すぐ暗くなるので)16時頃が限界です。
・古墳群には標識や道標はないので、分かり易い所を起点に連鎖的に巡りますが、
現在位置を常に確認し、戻る道順も記憶に残しながら進んで下さい。
古墳位置図の等高線をシッカリ確認下さい(尾根・谷筋が一つの目印となります)。
方角を見誤るといけないのでコンパス必携(太陽の位置等での勘に頼る測位は厳禁)。
・高低差が相当あり傾斜が想像以上に急です。立木の間を伝ったり、四つん這いで登り
降りするので、軍手必携。
立木のない所は丈夫な枝2本を杖替わりにすると良いです(スキーのストックの感じ)。
・落ち葉で滑りやすく、転んだり滑落することも多いので、ズボン等の着替え必携。
・入室できる石室は少なく、石材の隙間から撮影することも多いので自撮り棒必携。
・写真撮影の枚数がかなり多くなるので、カメラの予備電源の準備必要。
・園養山古墳群のブログは他にもあるので是非参考にして下さい。
ただ経年で様子が異なるケースも多いです。
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