OSAKA-TOM’s diary

古墳散策

百合野古墳群

百合野古墳群は滋賀県甲賀市水口みなくち町岩坂。900m南西には奥百合野古墳群がある。また、400m程北側には岩坂南古墳、更に300m程北側のJR草津線の線路すぐ西横に岩坂古墳群がある。200m程南東側には高山古墳群もある。2024年3月17日(日)訪問

 

 

*甲賀市教育委員会2008年刊「甲賀の横穴式石室-後期古墳群調査報告書-」P5-図4「水口盆地南西山麓の古墳群の位置」を編集・加工

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分布図等詳細については、甲賀市教育委員会 2008年発行 甲賀市史編纂叢書第四集ー『甲賀の横穴式石室-後期古墳群調査報告書-』(以下「調査報告書」と略記)に掲載されており、本ブログの各古墳規模・石室実測値等は未訪問分も含め、基本的にこの資料に準拠しています。

当古墳群は全て円墳で、墳丘規模の「径○m」は長軸方向の長さ、羨道は残存部分の値、玄室等の高さは土砂堆積床面からの高さです。なお同報告書は平成17(2005)・18年度(2006)調査を基にしており、現在とは様相を異にする所も多い点お含み置き下さい。
*露出石室跡が土砂で埋まっていたり、逆に土砂が雨で流されてかなり露わになっている等。

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この「調査報告書」については、下記甲賀市HPを参照下さい。

甲賀市史編纂叢書のごあんない/甲賀市

また、この「調査報告書」を所蔵する大学の図書館は下記で検索下さい。

CiNii 図書 - 甲賀の横穴式石室 : 後期古墳群調査報告

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百合野古墳群詳細

県道4号線を南北に横切る林道北側に1号墳。1号墳から県道を挟んだ南側の林道沿い約300m程の間に2~12号墳。また、1号墳東の丘陵上に13~20号墳がある。

*「調査報告書-」P20-図15「百合野古墳群 位置図」を編集・加工

 

1号墳 広域農道と県道4号線の三差路から4号線を北西に100m程行くと、県道を南北に横切る百合野林道がある。4号線から林道を北側に入って、25m程の右(東)側にある。

林道進入口北望          進入口左脇の道標          林道北望

*「〇望」=撮影方向は厳密な方角でなく「〇方面」程度の感覚で理解下さい。また勘違いの可能性も・・。

*季節や経過年数により周辺の様子や目印が変わることが多いので注意下さい。

*画像は、(スマホでも)PC版ならクリック(タップ)すると拡大されます。スマホ版ならピンチ拡大下さい。

 

群中では最も墳丘の保存状態が良く、径15m程の円墳。東裾の先は谷になっている。

林道から東望                    南望

墳丘南面に、ほぼ南向きの石室が開口する。

南西望                       北望

無袖式の玄室は現長3.9m・幅1.6m・高2m。奥壁・側壁の持ち送りが急で、断面は三角形に近い台形で、天井部が極端に狭くなる穹窿式。天井石は2石が残り、奥1石目は0.55mと小さく、2石目の巨大な1枚岩で殆ど覆われている。

                          墳頂から南望

 

1号墳から県道を挟んだ南側約300m程の間に2~12号墳があるが、いずれも径10m未満の小円墳。

進入口南望            南望(黄〇が道標)           道標

2号墳 径5m。封土の流出が顕著。林道脇で、「調査報告書」には、石材が抜き取られて陥没しているとあるが・・・?殆ど平ら。

南望                        北望(右側の段差下が林道)

3号墳=径9.3m。「調査報告書」ではーーー南向き石室の石材が抜き取られ、陥没(1×2m)しているーーー。 4号墳=径8m。「調査報告書」ではーーー封土の流出が顕著で石材等も確認できないーーーとあるが、いずれも石材どころか墳丘すら分からない。

 

5号墳 径8.5m。南東向き石室の石材が抜き取られ、陥没(1×3m)しているとあり、何とかそれらしき所が、林道西横にあった。

北西望                       南東望(林道方面)

 

6号墳 径7.5m。「調査報告書」には、封土の流出が顕著で石材等も確認できないーーーとある。5号墳と尾根裾との間のはずだが、それらしき所は見当たらない。

 

7号墳=径6.5m。「調査報告書」にはーーー南西向きの石室内は土砂が堆積。小型の横穴式石室の模様ーーーとあるが、分からない。 8号墳=径5.8m。封土の流出が顕著で石材等も確認できないーーーとあるが、ここには小さな石材がある・・違うのかも?

7号墳?林道から南望        8号墳?林道から南望        8号?墳頂北西望

 

9号墳 百合野林道南口から300m弱。林道右手上に結構高い斜面がある。その頂上辺りにある。径7.8m。南東向き石室の奥壁と側壁の石材がわずかに残る。

南西望                       北西望

 

10号墳 9号墳南西に隣接。径7.7m。石室石材が抜き取られ陥没(1×2m)している。

9号墳から南西望                  北西望

11号墳辺りから林道を挟んで9・10号墳北西望

 

11号墳・12号墳 いずれも径6m。「調査報告書」にーーー墳丘は判然とせず、石材等も確認できないーーーと、あるとおり判然としない。

11号墳辺り                     12号墳方面

 

1号墳から深い谷を挟んだ東の尾根上に13~20号墳がある。

13~20号墳が所在する尾根北望

向かって右手の斜面裾には獣除けの電気柵が張られているし、左手斜面裾は草木が繁茂。左手(北西)端から上がれるかもしれないが、とても大変そうなのでパス。

以下、調査報告書の情報のみ掲載します。

13号墳 丘陵頂上、径8mだが不明瞭。

ーー稜線上の14~16号墳は墳丘規模が大きく周濠が巡る。

14号墳 径15m、墳丘良好、石材散在。

15号墳 径16m、墳丘良好、石材散在。墳丘南側に周濠跡。

16号墳 径16.5m、群中最大で墳丘良好、周濠は幅2mで全周。

17号墳 径11m、墳丘良好、東側に周濠溝。

18号墳 径11m。墳丘良好。石材等は確認できない。

19号墳 径6.5m、墳丘は判然とせず、石材等も確認できない。

20号墳 径7m、墳丘は判然とせず、石材等も確認できない。

 

奥百合野古墳群

甲賀市水口町宇川。百合野古墳群南端の10号墳辺りから、(百合野林道を)800m程谷奥。

2基確認されている。

               *「調査報告書」P25-図19「奥百合野古墳群 位置図」を編集・加工

「調査報告書」の情報のみ掲載します。

1号墳 谷部斜面のなだらかな平坦部に立地し、径11mの墳丘は良好で、東側は急斜面となり谷底に至る。南東向きの玄室が完存する(土砂が結構堆積)。石室全長6.24m、羨道長2.3m・幅1.12m、右片袖式の玄室長3.68m・幅1.67m・現高1.5m、平天井。

2号墳 径18mと大規模な墳丘。大型石材が露出する。